日本臨床細胞学会雑誌
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喀痰細胞診による検診で発見された肺癌症例
金敷 真紀相馬 雅行松井 義博齋藤 洋子赤荻 栄一山本 達生
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2003 年 42 巻 6 号 p. 412-416

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抄録

目的:喫煙者の肺門部早期肺癌の発見に対する喀痰細胞診の有効性を評価する.
方法:本協会は, 1995年度から2000年度に喫煙歴や症状のある住民50,905人に喀痰細胞診を施行した. 6年間に発見された肺癌症例の病期, 組織型, 発生部位について検討した.
成績:要精検者は367人 (0.6%), 精検受診者数は306人 (83.3%) で, 肺癌は58例, 癌発見率は10万対114であった. 平均年齢は69.5歳, 65~74歳が62%を占めていた. 組織型は扁平上皮癌41例, 腺癌11例で, 病期は0期4例, I期19例であった.
結論:6年間の喀痰細胞診発見肺癌の組織型は, 70%が扁平上皮癌であった. 胸部X線写真で異常なく, 喀痰細胞診で発見された肺癌のうち61%が0期とI期で, 胸部X線写真では発見できない早期肺癌が発見された. これらの胸部X線写真で発見されなかった肺癌の発生部位は, 陰影が認められたものと比較し, 区域支より中枢側の気管・気管支発生が有意に多かった. 本協会の喀痰細胞診は, 胸部X線で発見の困難な中枢発生肺癌の早期発見に有用であった. さらに発見率を上げるため, 高危険群および保健師への指導をすすめていく.

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