日本臨床細胞学会雑誌
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肺原発淡明細胞癌の1例
田口 史子佐藤 之俊石川 雄一星 利良都竹 正文宝来 威
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2004 年 43 巻 2 号 p. 117-120

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抄録

背景:肺の淡明細胞癌はWHO分類 (1999年) では大細胞癌特殊型に分類されているが1), 本邦の肺癌取扱い規約では, 該当する症例が経験されるまで分類に加えないとされている2). われわれはこのまれな肺原発淡明細胞癌の1例を経験した.
症例:39歳, 男性. 発熱と右頸部の腫脹があり, 頸部リンパ節の生検で淡明細胞癌と診断された. 胸部X線写真およびCTで, 右肺尖部に径2cm大の腫瘤と両肺野に多発する小結節陰影が認められた. 経気管支穿刺吸引細胞診で淡明細胞癌と診断され, 全身検索にて原発性肺癌と診断され, 化学療法を1コース施行されたが効果なく癌死した. 剖検でも肺原発淡明細胞癌と診断された.
結論:肺淡明細胞癌の診断では腎細胞癌からの転移との鑑別が問題となるが, 本症例は臨床的および剖検にて肺原発と診断された. 細胞診の形態的所見として, 細胞の大きさ, 細胞質, 核小体の所見などで腎淡明細胞癌の肺転移の細胞所見と相違点を認めた.

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