日本臨床細胞学会雑誌
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子宮原発未熟神経外胚葉性腫瘍 (PNET) の1例
菊次 徹濱田 哲夫吉田 徳秀金澤 茂正久岡 正典栗田 智子斉藤 竜太柏村 正道
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2004 年 43 巻 2 号 p. 135-139

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抄録

背景:子宮頸部擦過細胞診にて, 腫瘍細胞が多数出現したPNETを経験した.PNETは神経外胚葉性分化を呈するまれな軟部腫瘍で, 子宮頸部発生はきわめてまれである.
症例:52歳, 女性.不正性器出血がみられたため, 前医を受診し筋腫分娩が疑われ, 当院産婦人科紹介受診となる.腟鏡診にて子宮頸管内より突出する有茎性の腫瘤が認められた.画像・血液生化学検査上, 異常は指摘されなかった.子宮頸管ポリープの臨床診断で頸部擦過細胞診施行後, ポリープ切除術が施行され, 病理組織学的・免疫組織化学的にPNETと診断された.擦過細胞診では, 多数の小型・類円形異型細胞が孤在性から集塊をなして出現し, 一部でロゼット構造を呈し神経内分泌あるいは外胚葉性腫瘍が疑われた.準広汎子宮全摘術が施行されたが, 腫瘍の残存は認められなかった.
結論:本症例PNETは, 組織学的・免疫組織学的には典型的な組織像を示したが, 子宮頸管ポリープの形で腫瘤を形成し, きわめてまれな腫瘍発生部位・形態を呈した.子宮原発PNETの症例報告も増加しており, 子宮頸部擦過細胞診において, いわゆる悪性小円形細胞腫瘍の鑑別上重要である.

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