日本臨床細胞学会雑誌
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自然尿中の小型異型尿路上皮細胞の診断について
今井 律子夏目 園子橋本 政子高木 里枝深津 俊明佐竹 立成
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2004 年 43 巻 2 号 p. 99-103

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抄録

目的:小型移行上皮癌細胞と細胞異型度との関係および小型異型尿路上皮細胞の良, 悪性の鑑別点を明らかにする.
方法:1. 移行上皮癌 (TCC), 細胞異型度 (C-G) 1, 2, 3各20例を対象として, 自然尿中の移行上皮癌細胞の核径 (長径, 短径) を調査した, 2. 自然尿中に小型異型尿路上皮細胞のみられた非癌症例24例 (27検体) と, C) Gl12例 (15検体) を用いて, 細胞所見 (核径計測, 核形の不整, 核小体の有無, 細胞の重積性) を比較した.
結果:1. 移行上皮癌細胞の核径 (長径/短径) の平均はC.G1が7.9/5.9μmであった. C-G2, C) G3はそれぞれ10の/77, 11.4/8.8μmであり, それらの長径の最小値は8.8μmであった, 2. 非癌症例の小型異型尿路上皮細胞の核の長径は9μm以下で, C-G1の細胞とほぼ同様の大きさであった. 核所見では「核の立体不整」がC-G1細胞および非癌症例におのおの80, 19%認められた.
結論:移行上皮癌の細胞異型度が高くなるほど核径が長径, 短径ともに長くなり, 細胞異型度1と2, 3の長径の境界は8.8μmである.「核の立体不整」は小型異型尿路上皮細胞がTCCG1由来の細胞か, 非癌細胞かを鑑別する重要な所見である.

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