背景:子宮頸部癌としてはきわめてまれな組織型である明細胞腺癌を経験したので報告した.
症例:77歳, 女性. 4年前に不正出血を認め当院産婦人科を受診したが, 異常所見はみられなかった. その後, 再び不正出血を認め再受診. 初診時, 子宮口にポリープ状の腫瘤を認め, 擦過細胞診が行われた. 細胞診標本には大型明瞭な核小体を有する腫瘍細胞が立体的集塊 (ミラーボール状, 棍棒状) あるいは花弁様小集塊を形成して観察された. また, この細胞集塊内部および中心部にはライトグリーン好性の無構造物質が認められた. 以上の所見から悪性 (子宮頸部明細胞腺癌) と診断された. 入院後, 準広汎子宮全摘術およびリンパ節廓清術が施行され, 組織学的に子宮頸部明細胞腺癌と診断された.
結論:乳頭状増殖を主体とする明細胞腺癌では集塊内部にライトグリーン好性の無構造物質 (基底膜様物質) を有する立体的集塊 (ミラーボール状, 棍棒状), あるいは花弁様小集塊など本型の増殖形態を推定可能な集塊が認められた. したがって, このような集塊がみられた場合は明細胞腺癌を組織型推定する必要があると思われた.