日本臨床細胞学会雑誌
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造血幹細胞移植後尿中にアデノウイルス11型感染細胞を認めた成人T細胞性白血病 (ATL) の2例
伊藤 園江大田 喜孝原武 晃子中野 祐子大田 桂子楳田 明美中村 康寛沼田 早苗
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2004 年 43 巻 3 号 p. 178-184

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抄録

背景:白血病で造血幹細胞移植後出血性膀胱炎を引き起こし, 尿中にアデノウイルス (ADV) 11型感染細胞が出現した2例を経験したので報告する.
症例:症例1は38歳, 男性で, 成人T細胞性白血病 (ATL) にて骨髄移植後の例. 症例2は58歳, 女性で, ATLにて末梢血幹細胞移植後の例である.2例とも出血性膀胱炎を起こし, 尿のpolymerasechainreaction遺伝子解析 (PCR) 法にてADV 11型が検出された. 尿の細胞形態は, 1) 出血を背景に壊死物質, 壊死細胞を認めた, 2) 感染細胞の多くの核は全体を不鮮明な核内封入体で占められ, くすんだヘマトキシリンに染色されて認められた, 3) これらの感染細胞の核形は類円形のほかにひょうたん型, 半月型, 涙型, 腎形, 長楕円形など多彩な形状を示した, 4) 感染細胞は孤在性の出現のほかに集団を形成して認めた, 5) 少数ながらふくろうの目状核内封入体細胞の出現, を特徴とした.症例1の剖検組織では腎盂, 尿管, 膀胱にかけて移行上皮細胞はすべて脱落剥離し, 間質がむき出しとなり出血所見と著明な異型リンパ球の浸潤を伴っていた.腎実質組織では壊死と出血とともに, 尿細管上皮細胞に多くの好塩基性の核内封入体細胞を認めた. 同, 腎組織の電顕では尿細管上皮細胞の核内と細胞質の一部に散在して70-80nmの六角形のウイルス粒子が観察された.
結論:ADV 11型が臨床的に高率に出血性膀胱炎を引き起こすことや, 尿中に出現するその特徴的な感染細胞の細胞形態を認識することで, ADV感染細胞を推定することは可能と思われた.

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