日本臨床細胞学会雑誌
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インターネットを利用した遠隔細胞診の診断成績と課題
川村 直樹吉田 由香里酒井 一博山城 勝重松林 聡土田 貴美子藤岡 学小田 由紀子佐藤 ひろみ広瀬 徹今泉 晃広
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2004 年 43 巻 3 号 p. 205-213

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抄録

目的:市立稚内病院と国立札幌病院の間で4年間行われた遠隔細胞診の診断結果を評価した. 加えて, われわれの経験から発生する若干の問題を解決する方法を示すことをとおして, 遠隔細胞診の導入を促進し, 普及することを目的とした.
結果:以下の3つの方法によって細胞診断の結果を評価した.
1) 遠隔細胞診の結果をガラススライドの見直しと比較した.
2) 遠隔細胞診と従来の郵送による細胞診の「疑診」の比率を評価した.
3) 組織診断や臨床結果の観点から細胞診を評価した.
その結果, 遠隔細胞診が若干の検体を除いてガラススライド診断よりも劣っていないという成績を得たので, ほぼ満足できるものであった.
問題:遠隔細胞診ではデジタルカメラ, パソコンとコンピュータ・ネットワークの操作性の向上が要求される. しかし, 新しい機器の開発と遠隔細胞診専用のソフトウエアの開発はあまり必要とされないだろう. 診断精度の向上にとって最も重要な問題は, 基本的に細胞検査士と細胞診指導医の診断能力の向上と関連する. また, 単純さと精緻さを備えた診断基準の確立は各種の検体で求められる. さらに従来の郵送に基づく細胞診を実行するよりも, 遠隔細胞診では細胞検査士と細胞診指導医の間の信頼関係が作られなければならない.
結論:遠隔細胞診は, ガラススライドによる診断と結果がほぼ同じなので, 細胞診指導医不在の施設に採用されるべきシステムと考えられる.

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