目的:子宮頸部細胞診所見は, 術前に子宮内膜癌の予後をある程度予測できる手段となる可能性がある. 今回, 子宮頸部細胞診所見と子宮内膜癌の予後不良因子との相関関係を確認することを目的とした.
方法:当科にて子宮内膜癌と診断し, 子宮全摘術およびリンパ節郭清術を施行した55例を対象とし, Bethesda system 2001を用いた子宮頸部細胞診所見と子宮内膜癌の予後不良因子との関係についてレトロスペクティブに検討した.
成績:子宮頸部細胞診所見の内訳はNormal: 22例, Atypical glandullar cells of undetermined significance (AGUS): 6例, AGUS, favor neoplastic (AGUS-FN): 8例, Adenocarcinoma (AD): 19例であった.子宮頸部細胞診にてADであった症例ではNorma1の症例と比較し組織型が類内膜腺癌以外 (21.1% vs 0.0%), FIGOの進行期がII期以上 (63.1% vs 4.5%) およびIII期以上 (42.1% vs 4.5%), そして筋層浸潤が1/2を超えるもの (78.9% vs 27.3%) の頻度が有意に高い結果となった.一方, 組織分化度との相関関係は認められなかった.
結論:子宮内膜癌症例において子宮頸部細胞診がADである場合, その症例はhigh risk群に入ると認識する必要がある.