日本臨床細胞学会雑誌
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内膜増殖症を疑い細胞診疑陽性としたホルモン不均衡内膜症例の検討
清水 恵子則松 良明小椋 聖子岩佐 葉子桜井 孝規森谷 卓也桜井 幹己
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2004 年 43 巻 4 号 p. 266-271

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抄録

目的:子宮内膜癌は近年増加傾向にあり, 内膜増殖症を細胞診で指摘することは早期発見に繋がると考えるが, その精度はいまだ満足できるものではない. 今回, 細胞診疑陽性であった無排卵性周期に伴うホルモン不均衡内膜症例の検討を行い, 若干の知見を得たので報告する.
方法:細胞診疑陽性, 組織診非増殖性内膜であった65例のうち, endometrial glandular and stromal breakdown (以下Breakdownとする) とdisordered proliferative phase (以下Disorderedとする) であった33例を用い, 細胞像を検討した.
成績:Breakdown症例では, 間質細胞凝集像が著明なものが多く腺管の断片化を伴っており, 経過観察により異常細胞集塊が消失した. Disordered症例では, 単純型増殖症と同様の細胞像であった.
結論:Breakdownを疑う症例は陰性と判定し経過観察とし, 拡張腺管主体の症例は組織生検を施行するという基準を設けることが, 誤・疑陽性率を低下させるうえで重要と考える.

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