目的:子宮内膜細胞診の正診率を上げるため, 検討しなければならない課題の一つは, 診断に適する標本作製と考える. そこで, 直接塗抹法と保存液を使用した液状細胞診法 (以下LBC-P法と略す) を比較し, どちらが診断に適する標本が出来るか検討した.さらに, メリットとデメリットについても検討した.
方法:福井大学医学部産科婦人科外来で, 子宮内膜細胞診を施行した52例を対象とした. すべての症例に対し, 直接塗抹法とLBC-P法で同時に標本を作製し, 次の5項目について検討を行った.(1) 医師および検査技師の手間を比較検討,(2) 標本の精度評価,(3) LBC-P法による異型細胞出現の再現性を検討,(4) 保存液中における細胞変性の検討,(5) コストを比較.
成績:(1) LBC-P法では, 医師の手間が少なくなるのに対し, 検査技師の手間は増える.(2) 赤血球や乾燥が診断の妨げとなる標本は, 直接塗抹法で52例中の36例 (69%), LBC-P法では0例. 内膜腺細胞が少なく診断に不適と考える標本は, 直接塗抹法で16例 (31%), LBC-P法では1例 (2%).(3) すべてに異型細胞の出現を認める.(4) 変性は認めず.(5) 直接塗抹法では, 1標本あたり数十円に対し, LBC-P法では, 1標本あたり約100円.
結論:LBC-P法において, 診断に適した標本が, 少しの手間とコストで出来上がることがわかった.