2005 年 44 巻 4 号 p. 205-209
目的:堺市における過去16年間の細胞診を用いた子宮体癌検診成績の後方視的検討から, 体癌検診の現況と問題点について検討した.
方法:1987年から2002年までに堺市で実施した子宮頸癌検診受診者24万7931名中, 老人保健法検診施行条件 (老健法条件) に準じて体癌検診を施行した1万4188名の細胞診成績および患者背景について, 後方視的検討を行った.
成績:頸癌検診受診者における体癌検診施行率は5.7%, 細胞診による要精検指示率は1.8%, 体癌発見率は0.25%であった. 老健法条件中, 体癌発見率が高率であった条件は50歳以上および閉経後であり, 体癌検診施行条件を過去6ヵ月以内に不正性器出血のある50歳以上閉経婦人に限定すると体癌検診施行率3.5%, 体癌発見率0.34%であった. この検診施行条件下では過去16年間に検診で発見された体癌36例中30例 (83.3%) の診断が可能であった.
結論:継続的な体癌検診の維持には, 体癌検診対象者の限定を含めた検診施行条件の再検討を行うことも一策であると考えられた.