日本臨床細胞学会雑誌
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膀胱肉腫様癌の2例
笹生 俊一柳川 直樹植松 美由紀高橋 由紀星 宣次小野 久仁夫
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2005 年 44 巻 4 号 p. 245-249

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抄録

背景:膀胱の肉腫様癌はきわめてまれであり, 肉腫様癌の尿細胞診についての報告はない.
症例:症例1: 59歳, 女性. 膀胱頂部に隆起性腫瘤をみた. 尿細胞診で, 大小不同のある大型細胞で, 核クロマチン増量とくびれやひしげた核が目立ち, 多核細胞もみた. 組織学的に肉腫様組織内に大型で異型の強い細胞からなる癌巣が島状に散見された. 症例2: 87歳, 女性. 膀胱尿路癌TUR後の経過観察中に再発腫瘍として結節状腫瘤と小型乳頭状腫瘍をみた. 尿細胞診で, いわゆる尿路癌細胞のほかに大型の紡錘形や類円形細胞, 大小不同ある細胞, 多核巨細胞をみた. 組織学的に, 結節性腫瘍は異型紡錘形細胞からなり, その中に軟骨と骨形成巣を散見した.
結論:膀胱肉腫様癌を尿細胞診で診断するのは容易でないが, 通常の尿路上皮癌細胞のほかに, 多核や不整核を有する変わった異型細胞をみる例では鑑別診断に肉腫様癌をあげる必要があると考えられた.

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