日本臨床細胞学会雑誌
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乳管内乳頭腫の梗塞
その経過と細胞診
石原 明徳小山 英之井原 慎二河合 美穂小川 朋子田中 浩彦
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2005 年 44 巻 5 号 p. 279-283

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抄録

目的:梗塞をきたした乳管内乳頭腫の経過と穿刺吸引細胞所見を検討した.
方法:乳管内乳頭腫32例のうち梗塞を伴う7例について, 細胞診所見と組織所見を対比し梗塞の経過に伴う細胞診の特徴を検討した.
成績:梗塞初期では, 濃縮核, smudged nuclei (ぼやけた核), 核消失のみられる円柱状, 線維状, 紡錘形および多角形を呈した変性細胞が多量に観察された. 中期では大量の壊死物質を背景に乳管上皮細胞が観察され, 後期 (修復期) では少量の壊死物質とともに乳管上皮細胞, 線維芽細胞が観察された.
結論:梗塞をきたした乳管内乳頭腫は時間の経過とともに細胞像に変化がみられることを明らかにした. いずれの時期においてもviableな細胞が観察されない場合には, 良・悪性の判定は困難であり, このような場合は鑑別困難と判定して生検診断に委ねるべきである.

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