日本臨床細胞学会雑誌
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ポドプラニン免疫染色を用いた体腔液中の反応性中皮細胞と腺癌の鑑別
阿部 和子高島 且統五十嵐 司大友 圭子木村 伯子
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2006 年 45 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

目的:悪性中皮腫の組織診断に高い特異性と感度をもつポドプラニンが, 体腔液中の反応性中皮細胞や悪性中皮腫, および腺癌の鑑別に有用であるか検討を行った.
方法:体腔液に腫瘍細胞が出現している肺癌10例, 乳癌10例, 胃癌10例, 卵巣癌5例の計35例と悪性中皮腫3例, および反応性中皮細胞が出現している非癌症例30例にポドプラニンに対する特異抗体を用いて免疫染色を行った.
成績:ポドプラニンはすべての非癌症例の中皮細胞に陽性で, 特に反応性中皮細胞がより強く陽性を示した.癌症例では35例中33例 (94%) が陰性だったが, 2例の卵巣明細胞腺癌で腫瘍細胞の一部が弱陽性を示した.悪性中皮腫では3例すべてが陽性を示した.
結論:ポドプラニンは反応性中皮細胞と悪性中皮腫で陽性を示すが, 大部分の腺癌では陰性でそれらの鑑別に有用である.しかし卵巣の明細胞腺癌が一部, 陽性を示すことを念頭におく必要がある.ポドプラニンによる反応性中皮細胞と悪性中皮腫の鑑別は困難であった.

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