日本臨床細胞学会雑誌
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細胞診が有用であった乳腺アポクリン癌の3例
高橋 信二佐藤 祐嘉子波多野 吉治田中 昇遠藤 太嘉志春日 孟
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2006 年 45 巻 1 号 p. 17-21

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抄録

背景:アポクリン化生細胞の存在は, 良性の化生性変化においてみられることが多く, したがってアポクリン癌の診断には慎重を要するといわれている. 細胞診にて術前に推定しえた乳腺アポクリン癌の3例を報告する.
症例:3例すべては胞体内にアポクリン顆粒が豊富で, 特に核小体が大きく明瞭 (3μm以上が大部分) であることなどから, 細胞診および病理組織学的にアポクリン化生よりは, アポクリン癌と診断された. いずれも細胞診が有用であった症例である.
結論:手術材料の免疫組織学的検索では, gross cystic disease fluid protein-15 (以下GCDFP-15) が陽性を示し, 電顕的検索ではホルマリン固定材料のため詳細は不明であったが, 多数の空胞化した壊れの著しいミトコンドリアや分泌顆粒様構造を有する細胞が混在し, 核異型の著しいことなどアポクリン癌の診断に有用な所見が得られた.

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