目的:乳腺細胞診断の向上を目的にCEAの免疫染色に着目して検討を行った. あわせて, 分子生物学的解析との比較検討を行った.
方法:乳腺穿刺吸引細胞診および乳房摘出術を行った208例中, 細胞採取不良等で検索できなかった症例を除いた176例についてCEAの免疫染色を行った. さらに, 摘出症例36例と培養細胞6株についてmRNAを抽出しReverse Transcription Polymerase Chain Reaction法による分子生物学的解析を行い, CEAのmRNA発現と免疫染色による蛋白発現の比較検討を行った.
成績:良悪鑑別困難症例においてCEA陽性を示したことにより, より適切な診断, 処置を行うことができた. さらに, 外科的摘出術により組織学的診断のついた130例 (悪性119例, 良性11例) のCEA発現の特異度, 感度はそれぞれ64.7%, 90.9%であった.
免疫染色と分子生物学的解析の比較検討の結果, 一致率は培養細胞100%, 摘出症例83.3%であった.
結論:判定困難症例においてCEAの免疫染色を用いることにより細胞診断の向上に寄与することを確認した. 近年取り入れられている分子生物学的解析は, 従来の免疫染色と高い相関を示し, 今後の診断向上に期待する.