日本臨床細胞学会雑誌
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髄芽腫の細胞像の検討
武井 英博鈴木 博義
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2006 年 45 巻 4 号 p. 227-231

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抄録

目的: 髄芽腫の細胞像と鑑別診断を検討し, 術中細胞診への有効性を考察した.
方法: 材料は, 組織学的に単一組織像 [腫瘍の80%を主な3種類のタイプ: 古典的 (C), 結節 (N), 大細胞/退形成 (LC/A) のうちの1種類からなっているもの] と診断がついた43例の, 術中迅速診断時に作製された細胞像を検討した.
成績: C, Nタイプは細胞像では鑑別は不可能で, 肺小細胞癌類似の細胞所見を呈していた.LC/Aタイプは大型の多形細胞の増殖からなり, クロマチンの凝集, 核小体が目立った.著明なカニバリズム, 大型核小体, 核異型と, 多数の細胞分裂像, アポトーシス像はLC/Aに多く認められ, ロゼット形成はどのタイプにも認められた.興味深い所見として, 傍核細胞内封入体, 細胞体内空胞, カニバリズムがみられた.
結論: 著明なカニバリズム, 大型核小体, 核異型と, 多数の細胞分裂像, アポトーシス像は, 術中迅速診断で髄芽腫のLC/Aとそれ以外のタイプとの鑑別に有用である.鑑別診断では, atypicalteratoid/rhab doidtumorが最も問題になるが“rhabdoid cells”ロゼットの形成を探すことで, 鑑別は可能になるかもしれない.

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