日本臨床細胞学会雑誌
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子宮内膜細胞診で付属器由来の腺癌と推定診断した卵巣類肝細胞癌 (hepatoid carcinoma) の1例
三田 俊二中井 章人片山 博徳細根 勝前田 昭太郎
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2006 年 45 巻 5 号 p. 299-302

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抄録

背景: 子宮内膜細胞診で, 付属器由来の腺癌と推定される腫瘍細胞が出現し, 開腹手術を行った卵巣の類肝細胞癌hepatoid carcinomaを経験したので報告する.
症例: 60歳, 2回経産の女性.腹部膨満感を主訴として精査目的で入院.上腹部CT検査では肝臓を含め腹水貯留以外の病変は認められなかったが, 骨盤MRI検査で骨盤内に巨大な充実性の腫瘤が認められた.子宮頸部細胞診はClass II だったが, 子宮内膜細胞診はClass IVで付属器由来の腺癌と推定診断された.腫瘍マーカーはα FP: 29,310 ng/mlと高度に上1昇し, CA125も725.5 IU/lと上昇していた.卵巣癌の術前診断にて腹式単純子宮全摘+両側付属器切除+大網切除+骨盤リンパ節郭清を施行.摘出標本で左卵巣原発のhepatoid carcinomaと診断され, 右卵巣, 大網, 右鼠径リンパ節に転移を認めた.術後に化学療法を施行したが結腸へ転移し, S状結腸部分切除+人工肛門造設術を旅行したものの初診より約1年で死亡された.
結論:子宮内膜細胞診では, 卵巣や卵管など子宮外の病変を反映することがある.卵巣類肝細胞癌は起源を含め, 今後も検討が必要である.

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