背景:大量腹水を伴った卵巣島状カルチノイドの1例を経験し, 腹水細胞像, 組織像, 免疫組織化学的な検索を行った.
症例:72歳の女性. 腹部膨満感を主訴とし, 腫瘍マーカーは, CA125366. 6U/ml, CA19-963. 5U/ml, SLX84U/ml, CEA7. 5ng/mlと上昇を認めた. 画像診断で多量の腹水を認め, 右成熟奇形腫, 左卵巣癌が疑われ, 開腹手術を施行. 右卵巣腫瘍は成熟奇形腫, 左卵巣腫瘍は島状カルチノイドと診断された. 腹水細胞診は, 小型で, 細胞質の狭いほぼ均一大の腫瘍細胞が軽度重積性を示す集塊, ロゼット様あるいは散在性に出現し, 細胞質はライトグリーンに淡染し, 核は大小不同に乏しく, クロマチンは粗穎粒状に増量していた. 左卵巣腫瘍の手術材料の免疫組織染色では, Grimelius, Chromogranin A, NSE, AE-1, Serotoninが陽性を示しCD56, CEAは, 弱陽性であった. 一方, Peptide YYは陰性であった. 腹水細胞も同様にChromogranin Aが陽性であった.
結論:卵巣島状カルチノイドの病理診断には, カルチノイドに特徴的な細胞所見と免疫組織化学の併用が有用と思われた.