日本がん看護学会誌
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Print ISSN : 0914-6423
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原著
手術による人工肛門造設患者の主観的なQuality of Lifeの変化に関する縦断的研究
高見沢 恵美子佐藤 禮子
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1999 年 13 巻 1 号 p. 35-42

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抄録

要 旨

人工肛門造設患者の生活の主観的評価に関連する認識の変化を予測し援助を行うために,人工肛門造設患者と直腸癌で手術を受け人工肛門を造設しなかった患者を比較し,縦断的変化を明らかにした.

人工肛門造設患者に特徴的な認識の変化は,生活の主観的評価が退院前に低下し,退院後徐々に回復することであった.人工肛門造設患者の生活の主観的評価の低下をできるだけ少なくするためには,術後起こる認識の変化と対処について術前教育を行うことが必要であると考えられた.

直腸癌で手術を受けた患者に共通する認識の変化は,積極的生活姿勢,健康的生活,排便の負担感,および食事の満足の変化であった.退院後積極的生活姿勢,および排便の負担感は増加し,健康的生活は退院前に低下し退院後も回復せず,食事の満足は人院中に低下し退院後に回復していた.直腸癌で手術を受けた患者は,術後積極的生活を心がけているが,健康的生活を感じられるようになるには,ある程度期間が必要であると考えられた.排便の負担感については,退院後も継続した援助が必要であると考える.また,食事に関しては,入院中食事の満足感が得られるよう改善していく必要があると考える.

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1999 一般社団法人 日本がん看護学会
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