日本がん看護学会誌
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原著
大学病院で活動する緩和ケアチームの支援内容
―参加観察の結果から―
笹原 朋代三條 真紀子梅田 恵樋口 比登実篠田 淳子柴山 大賀宮下 光令河 正子数間 恵子
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2008 年 22 巻 1 号 p. 12-22

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抄録

要 旨

<背景>がん診療連携拠点病院の増加に伴い,緩和ケアチーム(PCT)が急増しているが,PCTが具体的にどのような支援をするのかは明らかでない.

<目的>これまで先駆的な活動をしてきた一大学病院で活動するPCTの支援内容を,参加観察法を用いて明らかにする.

<方法>2004年2~10月,緩和ケア診療加算算定以前から活動を行う一大学病院のPCTメンバー3名を対象とし参加観察を行った.観察場面は特定せず,PCTメンバーと病棟スタッフや患者・家族,その他の職種との相互作用の過程でとった言動を観察した.観察した事柄についてフィールドノーツを作成し,内容分析の手法を参考として分析を行った.

<結果>PCTの支援内容は,82のサブカテゴリから成る7つのカテゴリに整理された.すなわち,【症状緩和】【患者の精神的サポート】【治療目標の明確化】【療養場所の選択・移行のサポート】【看取りが近い患者のサポート】【家族のケア】【医療者への教育・サポート】であった.加えて,PCTがよりよく機能するための基盤作りについて,6つのサブカテゴリから成る1つのカテゴリが得られた.

<結論>先駆的な活動をしてきたPCTが実際に提供している支援内容が明らかとなった.これは,PCTの具体的な活動指針になる点で非常に有用と考えられる.

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2008 一般社団法人 日本がん看護学会
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