日本がん看護学会誌
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原著
前立腺がん患者の排尿・排便・性機能,精神的負担感が自尊感情に与える影響
掛屋 純子掛橋 千賀子
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2008 年 22 巻 1 号 p. 23-30

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抄録

要 旨

本研究の目的は,前立腺がん患者の排尿機能・排便機能・性機能に対する自己評価および精神的負担感が自尊感情に及ぼす影響について明らかにすることである.外来通院中の前立腺がん患者を対象にアンケート調査を行い,102名を分析対象とした.対象者の平均年齢は,71.1±7.1歳であった.自尊感情を予測するのに重要な変数として年齢,治療期間,排尿機能・排便機能・性機能に対する自己評価および精神的負担感を重回帰分析ステップダウン法を用い分析した.その結果,すべての独立変数によるモデルⅠの重相関係数(R)は0.506,決定係数(R2)は,0.192(自由度調整済み),モデルⅡの重相関係数(R)は0.474,決定係数(R2)は0.201(自由度調整済み)であり,モデルⅠとモデルⅡの決定係数の増分(ΔR2)0.009 は,有意ではなかった.モデルⅡを構成する2変数では,排尿障害負担感(β=0.238,p=0.018),性機能障害負担感(β=0.231,p=0.024)で自尊感情に有意に影響していることが明らかになった.このことは,機能的な評価よりも患者の精神的負担感が自尊感情に影響するといえる.

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2008 一般社団法人 日本がん看護学会
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