日本がん看護学会誌
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研究報告
外来で化学療法を受けるがん患者が知覚している苦痛
齊田 菜穂子森山 美知子
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2009 年 23 巻 1 号 p. 53-60

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抄録

要 旨

本研究は,外来で化学療法を受けるがん患者が,治療を受けながら生活をしていくうえで知覚している苦痛を明らかにするために,外来で化学療法を受けているがん患者に対し,面接を通して治療を受けながら生活をするうえで苦痛を感じている内容を抽出することを試みた.外来で化学療法を受けているがん患者の5割以上が苦痛と知覚する症状は,身体的症状では「倦怠感」,「脱毛」,非身体的症状では「治療に来なければならないという思い」,「ほかの患者と待たなければならない」,「仕事や家事への影響」で,上位10項目中6項目が非身体的症状であった.がん患者が知覚する困難や気がかりな内容は,『長期化する治療への苦痛』,『治療を受ける体力への不安』など治療に関する苦痛や不安が6カテゴリー,『家族が病気のことを心配する』,『家族が協力してくれない』など家族への不安や不満が6カテゴリー,そして『仕事への不安』,『経済面への不安』,『常に病気のことが頭から離れない』,『死に対する不安』,『医療者の対応』,『相談できる人がいない』,『社会の偏見』の計19カテゴリーであった.家族への不安や不満など家族関係は化学療法の副作用の知覚に影響するため,患者が化学療法による副作用や不安を最小限にし,QOLが維持できるためにも,家族に患者へのサポートの大切さやサポート方法を援助していく必要があることが明らかになった.

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2009 一般社団法人 日本がん看護学会
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