日本がん看護学会誌
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研究報告
アロママッサージにより終末期がん患者との間にもたらされるセラピスト看護師の相互作用
山中 愛子神里 みどり
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2009 年 23 巻 1 号 p. 61-69

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抄録

要 旨

本研究の目的は,終末期がん患者にアロママッサージを実践しているセラピスト看護師は患者から何を汲み取り,何を働きかけているのか,患者との間で生じている相互作用を明らかにすることである.アロマセラピーに関する専門資格を有し,終末期がん患者にアロママッサージを実践している看護師10名を対象に,半構成的面接を行ない,質的帰納的に分析した.その結果,患者との間に生じているセラピスト看護師の相互作用では9つのカテゴリーが,セラピスト看護師と患者の両者に共通して1つのカテゴリーが抽出された.セラピスト看護師はマッサージ全体を通して【相手の幸せを希求し最善のケアへ挑戦】する気持ちをもち,【意識を集中し相手の波長を汲み取る】作用を受けながら,【相手を尊重したケア行動】を実践し,患者に働きかけをしていた.マッサージ前には【アセスメントにより精油を調合】し,マッサージ中には【手で身体状態を看ることができる卓越した技】を駆使し,【相手の反応に応じたさらなるアセスメント】をし,マッサージが患者に合っているか確認していた.また患者の身体に触れながら【相手から受けるエネルギー】を感じていた.マッサージ後には【相手の良好な反応による充実感】を感じながら,患者に【症状緩和に関する教育】を実施していた.セラピスト看護師はマッサージ開始後から,患者と【精油による効果を共有】していた.セラピスト看護師はマッサージをしながらケアリング行動をとっており,アロママッサージはケアリングを実践する一つのツールになる可能性があり,看護ケアの一つとして普及させ,実践する価値は高いと考える.

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2009 一般社団法人 日本がん看護学会
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