日本がん看護学会誌
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研究報告
「がんサバイバーのコントロール感覚」の概念の特性
今泉 郷子稲吉 光子
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2009 年 23 巻 1 号 p. 82-91

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抄録

要 旨

【目的】がんサバイバーのコントロール感覚の概念の特性を明らかにする.【方法】データ収集:1996~2007年8月で,Medline・CINAHL・CiNiiなどを用いて,コントロール感覚とがんサバイバーなどをキーワードに検索し,がんサバイバーのコントロール感覚に関する内容の説明が提示されているもの38件を選定した.データ分析:Rodgersの概念分析の手法を用いて,対象文献から概念の属性・先行要件・帰結を抽出し内容分析を行い概念の特性を見出した.【結果】がんサバイバーにおけるコントロール感覚概念は,幅広い時期と状況の中で活用されていた.サバイバーとしてのコントロール感覚は〈多様性〉があり〈状態の変化〉を生じ,自らが〈関与している〉ことを〈認識的〉に了解できること,がんサバイバーとしての不確かさをも含めた人生に〈精通している〉という属性を持ち,先行要件として〈信念〉,〈他者との関係性〉,〈自己への信頼感〉,〈がん情報の量と質〉が存在し,帰結として〈生活の質〉,〈より良い適応〉,〈がんとの共存〉につながっていることが明らかになった.【考察】“がんサバイバーにおけるコントロール感覚”とは,変化する状況の中でがんサバイバーらがダイナミックに多様性を持ちながらも生活の質と適応を求め,がんとの共存という未来に向け変化し続ける人間の本質的なありようであり,がんという驚異的な出来事をともに携えながらも,未来に向けた可能性を見いだすことにつながる重要な概念である.

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2009 一般社団法人 日本がん看護学会
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