日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
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原著
同種造血細胞移植レシピエントの療養生活に関する看護師からの情報提供内容
人見 貴子田中 真琴佐藤 栄子数間 恵子
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2010 年 24 巻 1 号 p. 13-22

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抄録

要 旨

同種造血細胞移植レシピエントは長期に亘って生活制限や療養環境の調整を要し,主体的な対処の支援として情報提供が重要であるが,療養行動に関する勧告にはエビデンスが不足し,情報提供内容に基準はない.加えて,本邦の移植実態から,単施設での情報提供経験の蓄積は困難である.本研究では,療養生活に関して看護師からレシピエントへ伝える必要がある情報を明らかにし,その重要度を階層的に示すことを目的として,Delphi法による調査を行った.レシピエント用説明資料と専門家らへの面接調査から集積した【易感染性】,【GVHD】,【晩期障害】,【一般的日常生活管理】,【緊急時連絡先】に関する80項目を用い,全国18施設の移植看護経験を持つ看護師240名を対象に,2回意見を求めた.最終的に126名(53%)から有効回答が得られ,75項目が『伝える必要がある情報』と合意された.うち,生命の危機に直結する問題への対処行動などの9項目は『特に重要な情報』,多数のレシピエントに有用な具体的な生活行動などの30項目は『次に重要な情報』,『伝えるほうがよい情報』の36項目は,理論的に推奨される行動とその前提知識,活動の調整などであった.『伝える必要があるとの合意が得られなかった情報』となった5項目では,エビデンス不足や説明の困難さ,表現の不適切さが指摘された.今回の合意結果は,レシピエントの個別性に合わせて看護師が情報提供する際の有用な参照資料となりうる.

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2010 一般社団法人 日本がん看護学会
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