日本がん看護学会誌
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研究報告
訪問看護師からみた終末期がん患者の在宅療養に関する問題とその解決策
大園 康文石井 容子宮下 光令
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2012 年 26 巻 3 号 p. 52-60

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抄録

要 旨

本研究の目的は,訪問看護師からみた終末期がん患者の在宅療養に関する問題と,その解決策を明らかにすることである.対象は関東の訪問看護ステーションに常勤勤務する訪問看護師25名で,過去1年間に終末期がん患者を3件以上担当した者とした.調査対象者に,調査目的・方法・調査への参加は自由意思で調査に協力しないことで不利益は生じないことなどを,口頭と文書にて説明した.結果は,約半数が訪問看護師経験10年以上であり,19名が10件以上のがん患者に関わっていた.半構造化面接により終末期がん患者の在宅療養に関する問題が抽出され,【医師に関する問題】【家族に関する問題】【療養環境に関する問題】【看護師に関する問題】【訪問看護師の負担感に関する問題】【他職種に関する問題】【患者に関する問題】【連携に関する問題】【訪問看護ステーションの運営に関する問題】【関係者間の意見調整に関する問題】【利用者の経済的負担に関する問題】の11カテゴリーに分類された.さらにそれぞれの問題に対して,訪問看護師にできる解決策も明らかにした.問題を明確にしその解決策を考えることで,質の高い終末期在宅ケアの提供につながると考える.質の高い終末期在宅ケアが提供できれば,結果として患者・家族の満足につながると考える.

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2012 一般社団法人 日本がん看護学会
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