日本がん看護学会誌
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原著
緩和ケア病棟入院中で余命3週間程度と予測されている終末期がん患者の1日の過ごし方に対する意思決定の内容
江口 瞳秋元 典子
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2013 年 27 巻 1 号 p. 4-12

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抄録

要 旨

本研究の目的は,緩和ケア病棟入院中で余命3週間程度と予測されている終末期がん患者の1日の過ごし方に対する意思決定の内容を明らかにし,患者が自己の意思決定にしたがって最期まで良質な1日を過ごすことを支援する看護への示唆を得ることである.対象は,緩和ケア病棟に入院し,余命3週間程度と予測されているがん患者18名である.研究は,研究協力施設の承認および任意による研究参加の同意を得て,対象者の体調に配慮して行った.データ収集は,参加型参加観察法および半構造化面接法を用いて行い,Krippendorffの内容分析の手法により分析した.分析の結果,緩和ケア病棟入院中で余命3週間程度と予測されている終末期がん患者の1日の過ごし方に対する意思決定の内容は,【時の仕切りをして,今日1日を生きるという過ごし方をする】【あらかじめ何かをしようとは決めず状況に応じた過ごし方をする】【体力が維持できるような過ごし方をする】【形あるものを残せるような過ごし方をする】【楽しみを取り入れた過ごし方をする】【つらさは家族以外の他者に吐き出して平穏に過ごす】【今も死後においても大切な人との絆を断ち切らないような過ごし方をする】【残された命を他者のために使えるような過ごし方をする】【人として尊厳ある過ごし方をする】であった.

必要な看護として,身体的苦痛を緩和する,1日1日の生活が患者にとって最良の日となるようケアする,計画を立てないで過ごすことも患者の意思決定として尊重する,達成可能で身近な目標を患者とともに掲げたり「ものづくり」や季節的行事の実施などにより希望を維持し育む契機を用意する,聴き手になる,患者自身が他者のために何かができるような関わりをする,可能な限り患者自身で身の周りのことができるよう環境を整える,などが示唆された.

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2013 一般社団法人 日本がん看護学会
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