日本がん看護学会誌
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研究報告
がん患者の治療法の意思決定に対する看護師のかかわりの程度と看護の実践状況
西尾 亜理砂藤井 徹也
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2013 年 27 巻 2 号 p. 27-36

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抄録

要 旨

本研究は,がん患者の治療法の意思決定に対する看護師のかかわりの程度と看護の実践状況を明らかにすることを目的とした.看護師930名を対象に自記式質問紙調査を実施し,767名から回答が得られた.そのうち有効回答数は666部であった.分析は記述統計後,看護師のかかわりの程度と背景との関連について多重ロジスティック回帰分析を行った.意思決定支援に関する看護実践は,一元配置の分散分析を用いて病院種別による差を分析した.すべての分析はSPSS ver15.0を用いて行い,有意水準を5%とした.

調査の結果,がん患者の治療法の意思決定にかかわることができると回答した看護師は,全体の40.5%であった.そして,意思決定支援に関する自主的な学習をしていることや,先輩看護師による勤務病棟の状況に即した実践的な指導があることが,意思決定支援に対する看護師の意欲の向上や自信につながる可能性が示唆された.看護の実践状況については,患者─看護師間や看護師─看護師間における行動はある程度実施されていたが,医師─看護師間における行動の実施度が低いことが明らかになった.また,都道府県がん診療連携拠点病院は,地域がん診療連携拠点病院や一般病院に比べてほぼすべての項目で看護実践の平均値が有意に高かった.このことから,意思決定支援に対する看護実践の向上には,都道府県がん診療連携拠点病院によるがん医療や看護に関する情報提供や指導,支援が必要であることが示唆された.

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2013 一般社団法人 日本がん看護学会
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