日本がん看護学会誌
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原著
外来外照射療法開始前のがん患者が必要とする情報と患者の内的世界─患者のセルフケアを促進する治療開始前の看護支援の検討─
黒田 寿美恵秋元 典子
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2013 年 27 巻 3 号 p. 14-23

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抄録

要 旨

研究目的は,外来外照射療法適用決定後治療開始前のがん患者が必要とする情報の詳細と患者の内的世界とを明らかにし,外来外照射療法を受けるがん患者のセルフケアを促進する治療開始前の看護支援への示唆を得ることである.外来外照射療法開始前のがん患者21名に半構造化面接を実施し,Krippendorffの内容分析の手法を用いて分析した結果,がん患者が必要とする情報の詳細は,有害事象の種類および出現時期・部位・程度,治療がもたらす生活上の制約,原爆との相違点,抗腫瘍効果に関する客観的指標,治療にかかる費用,受けた人の体験談など,12大表題に類型化された.また,患者の内的世界は,病状の悪化や死の意識がもたらす脅威の知覚,がんの不確かさへの憂慮,ほかに選択肢はないという覚悟,長期間を要する治療であることに由来する困惑など,16大表題に類型化された.外来外照射療法開始前の看護支援への示唆として,がん患者が必要とする情報の12の大表題に関する内容を治療開始前に提供することで,患者が外来外照射療法をコントロールできる感覚を獲得できるようにする,集学的治療を体験した患者に過去に受けた治療に対する不満がある場合には治療開始前に解消する援助を行う,など計4つが得られた.

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2013 一般社団法人 日本がん看護学会
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