日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
Print ISSN : 0914-6423
ISSN-L : 0914-6423
研究報告
外来がん化学療法における携帯型ディスポーザブル注入ポンプを使用する大腸がん患者のニードと関連要因
杉山 令子長谷部 真木子
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 29 巻 1 号 p. 34-43

詳細
抄録

要 旨

本研究の目的は,外来がん化学療法における携帯型ディスポーザブル注入ポンプを使用する大腸がん患者のニードと関連要因を明らかにすることである.外来化学療法を行う大腸がん患者668名を対象に,郵送質問紙調査を実施した.298名から回答が得られ,すべてを分析対象とした.分析は単純集計,χ2検定,ロジスティック回帰分析を用いた.記述式項目は,記述内容をカテゴリー化した.

治療は日常生活上特に清潔行動,仕事に支障があり,その原因は副作用とポンプの物理的な影響であった.ポンプ装着生活に6割が心配を抱え,心配に関連する要因は「年齢が低い」「家事を主には行わない」であった.多くは,管や針部の保護などを心配していた.自宅で注入終了処置を行うのは7割,その内,困っているのは約3割でテープがはがしにくい,針扱いが怖いなどを感じていた.注入中の不具合経験者は4割で,その半数以上にテープ固定部皮膚症状の経験があった.不具合経験に関連する要因は,「女性」「罹患年数が長い」「ポート位置胸部」であった.自由記述から得られたニードは,【苦痛の少ない針刺入とテープ固定改善の要望】【ポンプ装着方法改善の要望】【ポートトラブルとポートに関する不安】などであった.

治療前に治療や生活について情報提供・指導することが重要であり,治療に慣れた患者においても,皮膚トラブルや不具合,生活面の問題などがみられるため,継続的支援や相談窓口が必要であることが示唆された.

著者関連情報
2015 一般社団法人 日本がん看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top