2015 年 29 巻 1 号 p. 5-13
要 旨
目的:続発性リンパ浮腫は,リンパ節郭清を伴う婦人科がん手術によって引き起こされる後遺症であり,これを予防する予防教育が注目されている.本研究は予防教育で,リンパ浮腫の発症を予防するには生涯を通じてセルフケア継続が必要と説明されたとき,どのような思いを抱くのかを明らかにする.
方法:婦人科がん手術後に実施するリンパ浮腫予防教室受講後に同意を得られた研究協力者に半構造化面接法を行い,質的帰納的に分析を行った.
結果:研究協力者は30歳代から60歳代の女性15名であった.面接内容から,最終的に【終わりのないセルフケアは重荷】【セルフケアと継続性の不確かさ】【セルフケアは必要と自分に言い聞かす】【具体的にやらなきゃいけないセルフケア】という4つのカテゴリを抽出した.
考察および結論:【終わりのないセルフケアは重荷】【セルフケアと継続性の不確かさ】の2つのカテゴリは自覚症状がないままに続くケアの重荷という予後の不確かさと確証のないケアと自身の継続性につながる医療の不確かさという認知であった.これらの不確かさの評価が【セルフケアは必要と自分に言い聞かす】【具体的にやらなきゃいけないセルフケア】というこれから行う具体的なセルフケアへと思考を発展させていく思いとなっていた.このことは,医療者がリンパ浮腫未発症者のセルフケアへの思考の喚起と実践につながる支援法の開発を示唆するものである.