日本がん看護学会誌
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研究報告
肺がん患者の治療過程において「bad news」を伝えられた配偶者の心理的ストレス反応
―病期における差異とその影響要因―
釘本 とよ子古賀 明美
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2015 年 29 巻 1 号 p. 54-61

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抄録

要 旨

目的:肺がんの治療過程の中で,配偶者に医師から「bad news」が伝えられる時期を大きく3つの病期(診断告知の時期・再発の時期・積極的な治療終了の時期)に分け,各病期での配偶者の心理的ストレス反応の程度およびそれに影響を及ぼしている要因を明らかにし,3つの病期に応じた適切な看護援助について考察する.

方法:「bad news」が伝えられる3つの病期にある肺がん患者の配偶者に対して,心理的ストレス反応,夫婦関係満足度を含む自記式質問紙を用いて調査を行った.

結果:肺がん患者の配偶者(44名)の約2/3は自分の健康問題を抱えていた.その心理的ストレス反応は最初の「診断告知の時期」に高い傾向にあったが,病期別の有意差は認められなかった.配偶者の心理的ストレス反応に影響する要因としては,「夫婦関係満足度」「健康の状態」「経済的不安」「家族構成」が主なものであり,3つの病期によってこれらの影響要因は異なっていた.

結論:看護者は,肺がん患者の配偶者の心理的ストレス反応を緩和するために,病期によって要因が異なることを考慮して援助することが大切である.

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2015 一般社団法人 日本がん看護学会
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