日本がん看護学会誌
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原著
外来化学療法を受けるがん患者の心身緊張状態と緊張緩和のための対処過程
菅野 久美秋元 典子眞嶋 朋子
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2015 年 29 巻 2 号 p. 14-24

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抄録

要 旨

本研究の目的は,外来化学療法を受けるがん患者の心身緊張状態と緊張緩和のための対処過程を明らかにし,緊張緩和を促進する看護実践への示唆を得ることである.

外来化学療法を受けるがん患者8名を対象とし,参加観察および半構造化面接によりデータを収集し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて分析した.

分析の結果,外来化学療法を受けるがん患者の心身緊張状態と緊張緩和のための対処過程は,《多様な身体感覚を自覚しながら心身緊張に気づいていく》および《手応えを感じながら心身緊張緩和の方略を獲得し,緊張緩和に向かう》をコアカテゴリーとする過程として説明された.【単一の因果では説明できない振幅の大きな繰り返される身体感覚】を有した患者は,【行動や身体感覚の変化を自覚する】【日常生活が変わってきた】『外観や行動の変化を他者から知らされる』ことで【心身緊張が浮かび上がる】体験をする場合もあれば【心身緊張とは気づかないままに過ごす】場合もあった.いずれの患者も身体感覚に対して【外来化学療法開始前から持ち合わせている緩和方法を行う】【抗うことなく選択した受動的な方法を使う】『刺激とならないように言動や行動を制御する』【関心を外に向けるための時間や場所をつくる】【同じ体験者とのつながりを活用する】【次の治療に臨む準備をする】という対処方略により,【緩和の手応えを実感しながら評価する】ことで最終的に心身緊張の緩和がみられていた.これらのことから,患者が早期に心身緊張に気づき,緩和方略を獲得していける看護実践の必要性が示唆された.

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2015 一般社団法人 日本がん看護学会
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