日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
Print ISSN : 0914-6423
原著
手術を受けた肺がん患者の身体経験―手術後早期に焦点を当てて―
大川 宣容
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2016 年 30 巻 1 号 p. 5-13

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抄録

要 旨 肺がん手術後は,疼痛の残存や肺機能障害により日常生活が制限され,無力感を抱きやすい.本研究は手術を受けた肺がん患者の手術後早期における身体経験を理解し,看護援助への示唆を得ることを目的とする. 研究デザインは解釈学的現象学の手法を用いた質的記述的研究である.肺がんの診断で肺切除術を受けた手術後8 週間以内の17 名の患者に面接を行い,データを得た.分析は,Cohen ら1)の方法を参考にして行った. 手術を受けた肺がん患者の身体経験は,【普段とは違う脆弱な身体に気づく】【行動による感覚から身体の回復をつかむ】【残された肺で挑戦できる身体を取り戻していく】【周りから力を得る身体を認識する】の4 つのテーマから理解された.患者は,手術後の細かな変化を普段との違いとして捉え,身体の脆弱性を認識し,生活世界の中で身体の位置づけを考え直す.自分なりに身体の回復を確かめ,残された肺で挑戦できる身体を取り戻そうと努力し,新たな価値や自信を得る.また,周りからの支援を受けとり,信頼や気づかいの感覚を得ていく.脆弱な身体を認識するときや,回復に向けて一歩を踏み出すときに,必要なタイミングで他者からの支援を受けとることで,患者は未来に向かって挑戦できる身体を取り戻していく力を得る.

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2016 一般社団法人 日本がん看護学会
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