日本がん看護学会誌
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原著
がん体験者によるピアカウンセラーと医療者の 有機的連携の促進に向けた探索的研究
浅海 くるみ村上 好恵
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2016 年 30 巻 2 号 p. 45-52

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抄録

要 旨

目的:本研究の目的は,ピアカウンセラーの体験や考えによる語りから,ピアカウン

セラーと医療者の有機的な連携を促進するために必要な要素を明らかにし,有機的連携を促進するための具体的な方略を検討することである.

方法:がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターでピアカウンセリングを担当す

る,NPO 法人がん患者団体支援機構に属する6 名のピアカウンセラーを対象に,半構造化面接を実施し,質的帰納的に分析した.

結果:ピアカウンセラーと医療者の有機的連携の促進は,【相談場所と相談システム

の改良】【医療チームにおけるメンバーシップの形成】【ピアカウンセリングマインドとスキルの洗練】が必要であることが明らかとなった.

考察:カテゴリの関連性を検討すると,ピアカウンセラーが医療チームにおけるメン

バーシップを形成することは,すなわちピアカウンセリングマインドとスキルの洗練へと繋がり,医療チーム内で存在感を増すことになるなど,それらは影響し合う関係であり,ピアカウンセラーと医療者の有機的連携の促進に向けた方略の核であると考えた.そして,相談場所や相談システムの改良というハード面の強化は,有機的連携の促進を支える土台であることが推察された.

結論:有機的連携の促進に向けた具体的方略は,ピアカウンセラーが活動しやすい土

壌を整備すること,がん体験者であるピアカウンセラーのアンビバレントな側面を理解すること,ピアカウンセラーの内発的動機づけの維持・向上を目指すことが有効である.

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2016 一般社団法人 日本がん看護学会
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