日本がん看護学会誌
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原著
外来通院する造血細胞移植後早期の 患者のライフコントロール
永井 庸央藤田 佐和
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2017 年 31 巻 論文ID: 31_nagai_20170519

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抄録

要 旨

研究目的は,外来通院する造血細胞移植後早期の患者のライフコントロールはどのようなものなのかを明らかにし,移植後に外来通院をする患者のライフコントロールを支える看護の示唆を得ることである.

研究デザインは,現象学を基盤とする質的記述的研究であり,データ収集は18 名の参加者に半構成的面接法を用いて行った.分析はGiorgi の記述的現象学的方法を参考に行った.

分析の結果,3 の大テーマ,7 の中テーマ,20 のテーマを見出した.外来通院する移植後早期の患者のライフコントロールは,「患者が不確実な状況の中で生存するために強い危機感をもち,【これからの生活に目安をつけ(る)】て生活する.そして,周囲の人の支援なしで生きることが困難である中,今の生活を営むために【他者との隔たりの中で生活する】.さらに,再発や厳しい予後を意識しないように【生活していくために気持ちの均衡を保つ】ことである」と理解できた.

ライフコントロールは,移植片対宿主病(GVHD),再発などによる不確かな状況を理解したうえで,これからの生活がどうなるのかを患者が予測し,自らを律していたことが特徴的であった.看護師は患者の行為をライフコントロールの視点で捉え関わることで,患者に具体的な行為のイメージと,これからの生活の目安を促すことができると考える.また,患者が自らを律することで無理が生じていないか確認し,患者を支援する必要性が示唆された.

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2017 一般社団法人 日本がん看護学会
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