日本がん看護学会誌
Online ISSN : 2189-7565
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原著
在宅がん終末期ケアに従事する訪問看護師が重要と判断したケア
小沼 美加藤本 桂子京田 亜由美神田 清子
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キーワード: 終末期, がん, 在宅
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2022 年 36 巻 論文ID: 36_87_konuma

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抄録

本研究では,最期1カ月にある療養者と家族に対して訪問看護師が重要と判断したケアを明らかにすることを目的とした.対象者は在宅でがん療養者の看取りを重点的に行っている訪問看護師7名とした.方法は,半構造化面接法による質的帰納的研究デザインであり,面接内容は看取りまでの最期1カ月にあるがん療養者および家族に対して重要と判断したケアについてである.

分析の結果,死亡前1カ月から1週間までは6カテゴリ【療養者や家族の変化をとらえ介護負担の軽減に努める】【家族と看護師間の共通認識に向け看取りへの準備をサポートする】【療養者の病状や生活背景を考慮した医療の提供や管理を行う】【訪問時の状況から安全・安楽な日常生活を支える】【思いを尊重し療養者が最期まで自分らしく生き抜くために寄り添う】【多職種間の連携を強化する】が抽出された.死亡前1週間未満から看取り直後までは7カテゴリが抽出され,新たに【グリーフケアとして在宅看取りを認め家族に寄り添う】が見出された.

訪問看護師は,療養者の生活状況や病状,予後に加えて,療養者や家族の発言だけでなく表情などの小さな変化に気づくことで,介護負担の軽減や自分らしく生き抜くための支援につなげていた.また,家族の看取りの準備の調整,グリーフケアを見据えた支援,多職種連携の調整が重要と判断していた.

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2022 一般社団法人 日本がん看護学会
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