犯罪社会学研究
Online ISSN : 2424-1695
Print ISSN : 0386-460X
ISSN-L : 0386-460X
犯罪リスク認知の規定構造の時点問比較分析
犯罪へのまなざしの過熱期と沈静化期
阪口 祐介
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 38 巻 p. 153-169

詳細
抄録

本研究の目的は,社会調査データを用いた実証分析によって,2000年代において人々の犯罪に対する反応がどのように変容したのかについて明らかにすることである.はじめに,これまでの社会調査の結果をまとめることで,人々の犯罪へのまなざしが2000年代前半に急速に過熱し,2000年代半ばをピークに沈静化しつつあることを示す.次に,こうした過熱から沈静化という変化のなかで,人々の犯罪リスク認知の規定構造がどのように変容したのかについて問う.JGSSのデータを用いて時点間比較分析を行った結果,2000年代前半の過熱期にみられた高階層効果や男性における配偶者の効果が,2000年代後半の沈静化期では消失しつつあることが明らかになった.欧米の仮説からは説明できない日本独自の規定構造は,2000年代初頭に凶悪犯罪が社会問題化し,人々の犯罪へのまなざしが急速に過熱していくなかで生じた時代特有の現象であったと考えられる.

著者関連情報
© 2013 日本犯罪社会学会
前の記事 次の記事
feedback
Top