応用地質
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論文
農業用ため池底泥のバイオ固化処理に関する基礎的研究
清田 佳奈村上 章川﨑 了
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2009 年 50 巻 2 号 p. 70-78

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抄録

 農業用ため池に堆積する土砂 (以後, 「底泥」とする) は水質改善や貯水効率維持のために浚渫されるが, 高含水比であるのでそのまま運搬することができず, 処理も難しい. 本研究では, 環境に配慮して底泥を処理し再利用する手段を新たに開発するため, シリカコロイド溶液と微生物代謝を利用したバイオ固化処理の可能性を確認することを目的として, ため池底泥を対象に室内試験を実施した. 具体的には, 底泥を対象土とし, シリカグラウト溶液, イースト菌, グルコースを用いた固化材 (以後, 「バイオ固化材」と称する) の配合比の検討を行い, シリカグラウト溶液5ml, イースト菌1.25g, グルコース0.3gのバイオ固化処理により処理可能な底泥量が5gであることを把握した後, 底泥中の微生物や有機栄養源がバイオ固化処理に利用できることを確認した. 次に, 液性限界・塑性限界試験を行い, バイオ固化処理により塑性指数が低下することを明らかにした. さらに, フォールコーン試験を行い, バイオ固化処理の前後における貫入量を比較することで, 同一の含水比状態ではバイオ固化処理により底泥が硬化することが明らかとなった.

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© 2009 一般社団法人 日本応用地質学会
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