応用地質
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論説
地すべり因子と地すべり発生プロセス
―地すべりの初生と評価に関する研究小委員会における議論から―
野崎 保
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2011 年 52 巻 5 号 p. 168-175

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抄録

 小論は, 一般社団法人日本応用地質学会の地すべりの初生と評価に関する研究小委員会での議論を参考にまとめたものである. まず, 1970年代以降の識者の考え方を基に, 地すべりとその多様な因子とのかかわりについて検討し解説した. 次に地すべりを含む斜面変動因子に関する概念について解説したが, 地すべりの素因は, 基本的に内因としての物質因子に外因としての環境因子が作用し醸成されていく, という植村(1974)の考え方に基づいている. 地すべり因子には, 長~中期的に作用するものから短期的なものまでさまざまなものがあり, 筆者は長~中期的に作用する因子を素因, 短期的に作用するものを誘因と見なせば良いと考えている. しかし, こうした地すべり発生のプロセスについては, TERZAGHI(1950)を始めとしてさまざまな考え方があり, 専門家にとっても難解な部分が少なくない. そこで, 小論ではこれらの問題についての包括的な見解をまとめ, 図解し解説した. これらの図解は, 委員会としての見解や検討経緯および既存の資料を踏まえて, 筆者の考え方をまとめたものであり, 2つの事例を加えて解説した.

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© 2011 一般社団法人 日本応用地質学会
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