応用地質
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論文
隣接する活断層の連結性と変位様式
-弥畝山西断層と都茂断層の例-
相山 光太郎金折 裕司
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2012 年 53 巻 1 号 p. 21-30

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抄録

 島根県南西部の弥畝山西断層と都茂断層の性状と分布を詳細に再検討するために,それらの断層に沿う地域と延長部で地形・地質調査を実施した.得られた結果と既存の重力異常図および震源分布データを組み合わせ,弥畝山西断層と都茂断層の連結性と変位様式を議論する.
 リニアメント判読と地表調査に基づいて,これまで指摘されてきたよりも,弥畝山西断層は南西方向に10km,都茂断層は東方向に 1 km長く連続することを指摘した.弥畝山西断層北東部と都茂断層が接合する益田市美都町板井川地域において横ずれデュープレックスが確認される.その横ずれデュープレックスに囲まれた領域は周囲に比べて標高が低く,低地になっている.断層露頭の変形構造は,都茂断層の変位センスが左横ずれから右横ずれにインバージョンしたことを示す.この変位センスは,横ずれデュープレックスに囲まれた低地がプルアパート (板井川プルアパート) としてNE-SW方向に拡大を続けるとともに,それによって低地が沈降することを示唆している.

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© 2012 一般社団法人 日本応用地質学会
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