応用地質
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論文
根ノ上高原に分布する土岐砂礫層のテフラ層序
―石英中のガラス包有物の主成分化学組成を用いた広域テフラの対比―
古澤 明安江 健一中村 千怜梅田 浩司
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2013 年 54 巻 1 号 p. 25-38

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抄録

 土岐砂礫層は,テフラが堆積後著しく風化され,二次的に拡散しているため,明確な層序対比が行われていない.しかし近年,風化により対比が困難なテフラの対比に,残存する斜長石や石英中のガラス包有物の主成分化学組成が用いられるようになった.本研究では,断層活動により切り離されて隆起した根ノ上高原の土岐砂礫層について,風化残存する長石類および石英のガラス包有物の主成分化学組成から,広域テフラとの対比を試みた.土岐砂礫層は礫層を主体とし,最下部礫部層最上部および中部砂泥部層にガラス包有物を伴う石英および斜長石を含む細粒土層が挟まれる.礫層中には全くガラス包有物を含む斑晶は含まれない.中部砂泥部層の細粒土層の石英に含まれるガラス包有物は,広域テフラの火山ガラスおよび石英中のガラス包有物と主成分化学組成で比較したところ,東海層群の南谷Iテフラや掛川層群の有ヶ谷Iテフラのものとその特徴が一致し,対比できることが判明した.

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© 2013 一般社団法人 日本応用地質学会
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