応用地質
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山形県村山市・東北中央自動車道の建設法面に出現した活構造
瀬﨑 章太郎小坂 英輝楮原 京子阿部 恒平三輪 敦志池邉 紘美岡田 真介八木 浩司鈴木 毅彦今泉 俊文
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2016 年 57 巻 2 号 p. 68-79

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抄録

第四系が変形した活構造を示す露頭が山形県村山市を通る東北中央自動車道の工事法面に確認された.この活構造露頭は,山形盆地西縁断層帯に関連するものと推定されたが,既存の活断層図では地形判読により,撓曲と活向斜が解釈されているのみで,これらの構造と関係する地質構造は確認されていなかった.
活構造露頭の周囲の法面を観察した結果,段丘構成層が変形した露頭が形成時期の異なる段丘でそれぞれ確認された.確認した撓曲・褶曲と,変位の累積性から最上川右岸の河島山を頂部とする丘陵の東縁に新たな活断層(浮沼断層)を認定できた.また,浮沼断層は,露頭で確認した変形や低断層崖を形成していないことから,撓曲や褶曲を生じさせた断層であり,地下に伏在すると解釈される.浮沼断層の平均変位速度は,断層隆起側の地形断面および断層低下側の地質断面により推定される上下変位量と段丘面の年代から,約0.45~0.55m/千年と試算された.
防災・減災のためにも,このように伏在断層が推定される地域では,地表のずれの他に,地形の起伏とその配置・配列,地下構造を併わせて調査を行う事が重要である.

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© 2016 一般社団法人 日本応用地質学会
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