2016 年 57 巻 5 号 p. 201-212
岩石の空隙構造は透水係数等の物性値を大きく左右するため,その代表的なパラメータである有効空隙率および空隙寸法の分布特性を定量的に評価することが重要である.世界各地から採取された15種類の岩石の計108個の試料について,水銀圧入法によりそれらの有効空隙率と空隙寸法分布を測定したデータを取りまとめ,各種岩石の空隙構造の特徴を報告する.岩石の種類,年代と産地の違いによって,有効空隙率と空隙の寸法分布特性が大きく異なり,かつ,その空隙寸法分布の特性は空隙率との相関性が必ずしもあるとは限らないことが明らかになった.岩石の空隙寸法分布を測定する手段として,水銀圧入式ポロシメータは比較的実施簡便で,測定データの信頼性と再現性も本研究により確認された.ただし,有効空隙率の小さい(例えば,1%未満)緻密な深成岩の場合は,空隙半径の大きい範囲における測定結果が誤差を含む可能性がある.