応用地質
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現場でノンテクトニック構造を識別する場としてのOJT:地質技術者の企業内継続教育の試行事例
荒谷 忠清水 豊山根 誠
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2020 年 60 巻 6 号 p. 280-284

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抄録

応用地質学分野で重視されるノンテクトニック構造を識別できる地質技術者を養成するため,応用地質(株)ではOJTによる企業内教育に取り組んでいる.重力性の斜面変動としての地すべりやゆるみを評価する技能の習得が教育の最終目標である.一般に,地すべり等の概査段階での地質調査の役割は大きいが,当社では特に,露頭やボーリングコアでノンテクトニック構造を見ることを重視している.ダム貯水池周辺斜面の地質調査において,トレーナーとトレーニーが一組になり野外調査の技能を継承・向上するOJTを試みた.その内容は,地質踏査による地質図・断面図の作成,破砕帯の複合面構造による構造性断層と地すべり面の識別,流入粘土を指標とした地すべり・ゆるみ判定などである.技術の巧拙は必ずしも経験年数によらず,トレーナー・トレーニーは双方向的な関係で,経験者側の研鑽の場でもある.技能の向上・定着には一定の経験を要し,短期間・単発のOJTの効果は限定的で,訓練を繰り返す継続的な取組が必要である.こうしたOJTは,野外調査での議論・協働を通じた技能教育のみならず,多様な技術者が共有する地質観を作り上げる場としても機能する.

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© 2020 一般社団法人 日本応用地質学会
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