応用地質
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論文
人工改変地形における移動拡散と集積移動の速度評価と問題点
平野 昌繁
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2024 年 64 巻 6 号 p. 343-351

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抄録

人工的地形改変における土砂移動に関して2つのタイプがあり,そのひとつは移動拡散過程,もう一つは集積移動過程である.それらに対し移流(運搬)項を持つ拡散方程式で与えられるモデルの基本解が,人工改変地形における移動拡散あるいは集積移動の速度を評価する尺度となる.その速度を,近似モデルである斜面の平行後退による地形変化を想定した場合の自然過程における地形のプロセスの速度と比較する.人為的な移動拡散の例である神戸地域における地形改変や,集積移動の例である石灰岩採掘など,を対象として検討する.その結果,人工改変地形における移動拡散過程と集積移動過程における物質の移動速度は自然過程における山地の浸食あるいは火山体の形成にくらべて桁はずれに大きく,その大きな速度に関連して人工地盤の圧密現象あるいは地下の応力変化という問題が生じ得ると考えられる.

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© 一般社団法人 日本応用地質学会
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