応用地質
Online ISSN : 1884-0973
Print ISSN : 0286-7737
ISSN-L : 0286-7737
報告
河川堤防及びその周辺の微小な地形変化への剰余地図の適用性―鬼怒川の事例
黒木 貴一品川 俊介
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 64 巻 6 号 p. 352-360

詳細
抄録

鬼怒川下流の堤防及び高水敷を対象に,国土地理院から借用したレーザーデータを用いて地形変化を検討した.標高差分から作成した剰余地図では,特異な標高変化域を識別できた.その縞模様の形状,相対的な標高変化,土地利用から,その変化域に,法面の人工改変,洪水による土砂移動,堤防全体の変形,天端の道路や法面の何らかの変形が生じたことを推定できた.さらにその変化域では,法面での坂道の新設,高水敷での微高地や浅い谷の形成,工事に伴う道路の傾きや凹部が生じていることを確認した.また特異な標高変化は,天端の拡幅,法面の膨出や崩壊の過程,除草の影響を示す可能性があることも指摘した.新旧のレーザーデータが異なる精度や密度を持つ場合でも,人工改変地の堤防及び堤外に生じた意味ある標高変化を剰余地図で識別し,様々なスケールの地形変化を判読できる.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本応用地質学会
前の記事
feedback
Top