応用地質
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報告
地震時に発生した表層崩壊と風化帯構造の関係に関する一考察
~令和6年能登半島地震の例~
松澤 真渡壁 卓磨佐藤 昌人
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2026 年 66 巻 6 号 p. 225-236

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抄録

表層崩壊の発生場や崩壊深さを予測するうえで重要な風化帯構造について,令和6年能登半島地震により表層崩壊が群発した奥能登地域を対象に調査した.この地域の地質は多様であるため,地質ごとに風化帯構造を比較して,風化帯構造の形成過程と表層崩壊の発生場についての関係を明らかにした.表層崩壊のすべり面が形成されたのは,4つの岩種ともにクリープの進行により基盤岩から分離した強風化岩であったが,風化帯構造には明瞭な違いが認められた.珪質シルト岩は亀裂性岩盤であり,弱風化岩と強風化岩の境界で黄鉄鉱が消失していた.硫酸による風化の促進と岩盤強度の低下により,岩盤クリープが進行し,表層崩壊が発生したと考えられる.流紋岩質火砕岩は,尾根から渓床付近までハロイサイトが多量に含まれる強風化帯が形成され,それを反映して尾根から渓床付近まで広い範囲で崩壊が発生した.デイサイト質火砕岩の強風化岩の分布は尾根部に限定され,崩壊も尾根付近に集中していた.強風化岩には,ハロイサイトおよびスメクタイトが含まれていた.安山岩質火山岩は,ヘマタイトを主体とした非常に粘土質な強風化岩が尾根部のみに形成され,尾根付近で崩壊が発生した.

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© 一般社団法人 日本応用地質学会
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