応用地質
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西南北海道登別地域における岩石の変質作用と地すべりとの関係
白幡 浩志朝日 秀定大浦 宏照
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1987 年 28 巻 2 号 p. 47-53

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抄録

1983年9月24~25日に亘り, 北海道登別市-白老町地区は記録的な集中豪雨に見舞われた。この豪雨により, 登別クッタラカルデラ南麓に多数の, 曲面すべり型 (Slump type) 及び平面すべり型 (Debris-slide type) 斜面崩壊 (地すべり) が発生した。前者の殆どは, カルデラ南麓西南部に, NNE-SSWの方向に伸びる変質帯内で発生している。それに対し, 後者の分布には特定の傾向が認められない。
変質帯は, 地すべり地域の主要な基盤岩層である凝灰角れき岩の熱水溶液による粘土化作用によって形成されたと考えられる。変質作用は, 凝灰角れき岩層下部程著しく, 主としてモンモリロン石およびカオリン鉱物よりなる粘土化を特徴とし, 岩層の強変質部では比較的多量の硫化物 (主として黄鉄鉱) も存在する。一方, 平面すべり地では, 基盤岩層表層部に, 風化作用により生成したと考えられるハロイサイト並びにメタハロイサイトを主とする比較的薄い粘土化層が認められるに過ぎない。
以上のような基盤岩石が破った変質作用のプロセスと程度の相違が, 本地域で発生した斜面崩壊の分布, 規模並びにタイプ等を規制した主な要因であると考えられる。

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